新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が解除されたとは言うものの、まだまだ油断はできない状況です。また、今後第二波の到来、他国のように再度外出自粛要請がかかる可能性も多くあります。
外出自粛により国内での人の行き来も少なくなり、また海外からの訪日制限もかけられ観光業は苦しい状況にあります。また、アパレルに関しても春物は一切店頭で売ることができなかったため、在庫を多くかかえてしまっています。これから2008年に起きたリーマン・ショック以上の不況が来るのではないかとまで言われています。
今まで伝統工芸品は、さまざまな環境の変化によりその文化を残してきています。近年では、嗜好品として売買されていたり、インバウンドのお土産やレンタルで来てみたり使ってみたりして楽しむなど親しまれてきていました。
しかし、この新型コロナ・ウィルスの影響により伝統文化が残る観光地へのインバウンド客はいなくなり、どのようにして生き残るか考えなくてはならない状況です。
この外出自粛期間に、反物や和紙を使ってマスクを制作して販売するところも多く見受けられました。
今後どのようにして文化を残していくか、この時代の変化にあった伝統工芸はできないかを模索するためにも一度立ち止まって、伝統工芸のポイントをおさらいしていきます。

工芸品と民芸品のちがい

観光地に行くと、地域の博物館や歴史館などがあり、民芸品や伝統工芸品といった言葉が使われているのを見かけます。あまり一緒に掲げられていることが少ないことから、みなさん意識をしてまで考えたことがないと思います。いずれもその地域の歴史的風土から生まれたものになります。

民芸品とは造語のようで元は「民衆的工芸品」と呼ばれ、民衆のなかで生まれ日常的に使われている手工芸品のことをいいます。

工芸品は、特殊な技術が使われ造形美術品のことをいいます。

 

伝統工芸品とは、「用の美」「感の美」をもったもの

伝統工芸品は、伝統的に技術を継承してきている造形美術品をいいますが、伝統的工芸品という言葉もあり、こちらは伝産法という法律で決められた呼び名で指定を受けたものを伝統的工芸品と呼ばれています。

→過去の記事「伝統工芸品って現在何品目あるか知ってますか

この「的(てき)」と入っているのは、その持ち味を維持しながらも、産業環境に適するように改良を加えたり、時代の需要に即した製品作りがされているため、本来の伝統工芸品から改良されたものになります。

工芸品の造形美術という要素は陶磁器、漆器、織物・染物、木工品など観賞用のイメージが強いですが、なかには、着物や和傘、足袋など日常の暮らしでも使用できる品も多くあり、造形美術をまとったり使用する用途にも使われています。伝統工芸品には「用の美」と「感の美」を持ち合わせています。

 

伝統工芸品の7つの要素