2022年は新型コロナウイルス対策よりも経済面を優先し、人が動き出した年となりましたが、色々なコトに振り回された年となりました。

ロシアによるウクライナ侵攻、物価高騰、円安、中国コロナ感染拡大、記録的零下など、国際情勢、経済面、資材、気象とあらゆる方面で不安定な情勢であり、今後の動向さえ予測がつかない状況にあります。

コロナウイルス感染拡大時には、徹底した統制によりコロナウイルスへの対策ができていたように見えた中国が、異常なほどの感染拡大により政治面にも支障が出る自体になっています。また、ロシアとウクライナの戦争は終りが見えず、お互いの言い分は平行線のままです。

何が正しく何が間違っているのか、何が正義で、悪なのか、頭の中でわかっていたとしても表立って対処ができない世界になってしまいました。

混沌とした世界に入った今、どう歩んでいったら良いのでしょうか。

 

マイノリティの表面化による「新たな正解」

新型コロナウイルスによる世の中の変化は、今までのライフスタイルや働き方への疑問が生まれました。

出かけることが規制され、自身を、近辺を見直すきっかけとなりました。

「本当に良いのだろうか?」「本当に良いことなのだろうか?」という自身のあり方、世の中のあり方に疑問をもつものが増え、心のなかで少数派であったのではないかという想いが段々と湧き出てきています。

その現れとして、自分たちの活動を応援してもらうクラウドファンディングという資金調達方法があります。

新たなチャレンジや課題解決に向けたプロジェクトが投稿されています。

クラウドファンディング大手campfireでの投稿数は、2011年6月の立ち上がりから新型コロナウイルスが流行する前までの2020年2月に約30,000件のプロジェクトが生まれてきましたが、この2年で加速し2022年9月には、約70,000件と、この2年で40,000件のプロジェクトが生まれています。

<関連データ:campfire統計データ

各プロジェクトが表面化したことにより情報が公開されたこと、そこに人が集まり共感が浸透していくことで、隠れていた想いが集合体となっていきます。

また、各プロジェクトは次のステージとして新たな課題に立ち向かうにあたって進化が求められ、他のプロジェクトと情報交換し手を取り合う関係が生まれてくることが予想されます。

細かい課題から大きな課題に立ち向かうには個々では難しくなりつつあります。そんな課題に対して、プロジェクトごと、集合体のマッチングが求められるのではないかと考えられます。

今まで、「正解」は当たり前、昔からの判断基準とされてきましたが、この立ち止まった2年で正解は、ボトムアップで小さいことから解決して大きい課題解決できるように取り組むことで見えてくる時代になったのかもしれません。

 

2023年の3つのマーケティングキーワード

この一年、アニメワンピースが1000話記念でもあり映画が長い期間放映されていることもあり、広告が盛んに行われいました。

ワンピースを見ていない方でも街やメディアで映画の主題歌「新時代」という言葉が聞こえてくるような状況でした。

「新時代」という言葉は、希望でもあり不安でもある言葉です。

これをどちらに捉えて取り組んでいくか、大きな分かれ道に立たされるのが2023年になるでしょう。

急激なインフレに、金融政策、物価高騰など今までの経営ではうまくいかない対策が求められています。

とくに不安定な世の中では、世の中は明るいニュースや笑いを求めています。

世の中への希望となる道を選び進んだものだけが生き残る、一番判断が厳しい年になることでしょう。

世の中の人々は、今まではコロナ禍で貯蓄ができたことで、この物価高騰を凌いできましたが、いよいよ2023年に入っても高騰し続ける物価が生活を圧迫し、暮らし方、働き方を真剣に考え行動する年になります。

「新時代」を生き抜いていくにあたって、人々行動に出るための「探索」をはじめます。

2023年における世の中の人々の心理から企画を立てるにあたって、ヒントとなる思考キーワードが3点あります。

<関連記事:2022年のマーケティング3つのキーワード企画師予想

<関連記事:2021年のマーケティング3つのキーワード企画師予想

 

1.「タイムパフォーマンス」の探索

コロナ禍において出歩く機会を損失した代わりに、「ネット」を活用したショッピングや情報収集、ネットテレビなどが浸透し、サブスクリプションによる定期的サービスが浸透しました。

また、2022年に入り、外出することが許されてきたなかで、リアルでの体験はネットだけでは満たされない充足感があることを実感することになりました。

これにより、人々の暮らしにおける「ネット」と「リアル」でやりたいことが増えてしまい、暮らしにおける限られた時間の中で何を残すかという選択が始まっています。

そして、人は取捨選択をするとともに、効率的に満足感を得られないだろうかと追求します。

例えば、コロナ禍ではYOUTUBEやZOOMが浸透し、情報を視聴するだけでなく発信したりと情報交流が盛んに行われました。しかし、ここに来て視聴という行動は時間を取られてしまうことから、何かをしながら情報を受け取ったり交換ができるネットラジオや音声SNSなどの耳で情報を得るメディアが使われ始めています。

数多く充足感を満たしたいがために「〜しながら」できるような商品やサービス、働き方が加速していくことでしょう。

ゲームを楽しんでいたら、仕事になっているようなサービスも生まれるかもしれません。

2.「循環パートナー」の探索

物価が高騰し、安定的に良いモノを得ることが難しくなってきていることに気がつきます。

食品は値上がりし、どこでも食べれたものが食べられない、欲しい食材が手に入らない時代が来てもおかしくない状況です。

ここで大きく2つに道は別れます。

手に入る資材でどうにかする代替対処か、それとも安定供給を求め生産者とパートナーになるかという2択になります。

付加価値の高いものや生きていくうえで必要なものは、後者であるパートナーとなることを選択することになります。

2022年予想記事に掲載したように、一過性の接点で購入する消費という言葉は時代遅れになっています。

地球環境のため、社会貢献、思想といった共感できることに対して投資する感覚で、企業やプロジェクトと一緒に歩む感覚が強くなっています。

農家さんから定期便で食材を送ってもらうようなサービスが浸透しつつあります。

今後は次のステージとして、サブスクリプションの浸透や投資感覚が強くなってきていることから、生産者に対して投資感覚で支払い、精神面、物体面でもサービスを受ける循環的な仕組みが生まれることでしょう。

 

3.「ハブ(中心地)・第三の居場所」の探索

社会が多様化し、世界が混沌としており課題規模が拡大しています。

また、時代の変化が早く課題の方向転換を迫られることも増えています。

課題規模の拡大、不安定な状況で課題解決をするにあたって、すべてを自社及び自身で賄うのは難しくなってきています。

今までは、専門家の話を聞いたり、YOUTUBEなどで情報を取得したりで解決できるものがありました。

また、タイアップといった提携や協力によりお互いの力を結びつけて相乗効果を発揮するようなことで解決してきました。

しかし、時代が混沌としてきており見本とされるものが少なかったり、見本であったものが時代の変化で見本でなくなってしまったりと不安定のなか、自分自身が納得できることが大事になってきます。

課題をもつものが納得できるよう、課題をもつものが解決に向け参加でき、やりがいがもたされる第三の居場所を提供できるかが求められます。

アルコールドリンク市場が縮小しており、アルコール離れと言われるなか、好みの度数でカクテルを飲むことができる店舗が若者を集めています。

これはアルコールを楽しみたいという課題に対して、既成の商品が出てくる居酒屋や、自分好みにできるけど楽しさが物足りない家庭といった場で解決するのではなく、今までにない課題をもつものが自分で解決する第三の居場所になっています。

今後はこのような今までの商品主体ではなく、場に集まるもので解決する居場所が生まれてくるでしょう。

 

 

この2023年は、長らく続くコロナ禍による新生活様式に対して“解答”が出そろい、次の時代へ歩み始める分岐点になります。

自分らしく軸をもちながら、社会と常に対話していく姿勢が、良い方向に進むことでしょう。

そんな企業や人が求められています。