2020年5月23日に投稿した「リーマン・ショックから学ぶ2021年東京からの移住者が増えます」記事にて、大きな景気後退につながったリーマン・ショック時において起きた新築住宅着工数の減少、そして東京都からの転出増加が2021年にかけて起きるのではと書かせていただきました。

この2021年2月に総務省統計局より、2020年の各県の流入流出データとなる住民基本台帳人口移動報告2020年12月データが公開されました。

 

東京都からの転出者、昨年より4.7%増。

関東地方における2020年の転出者数は、東京都で401,805人の4.7%増加、神奈川県で203,198人の2.4%減少、埼玉県で162,018人の2.9%減少、千葉県で145,359人の6.6%減少、茨城県で55,823人の7.4%減少、栃木県で37,374人の11.2%減少、群馬県で33,692人の6.8%減少という結果がでました。

関東地方で昨年より転出者が増えたのは東京都のみ、他6県は転出を抑えることができたようです。

神奈川をはじめとする6県は、新型コロナウイルスにより外出自粛期間が多かったことから人の動きが鈍ったことにより転出を抑えられたと考えられます。その一方で、東京都は大きく転出者が伸びてしまいました。

総務省統計局より、2020年の各県の流入流出データとなる住民基本台帳人口移動報告2020年データを企画屋かざあなが編集

 

春の外出自粛後、東京都の転出者増加。

東京都の転出者数を昨年と比較したところ、外出自粛時の5月は減少しましたが、6月に入り増えだし8月以降は毎月10%以上増加しています。

年間では4.7%転出者増という結果ですが、2020年後半は10%以上の増加であり、本年2021年はより一層高まると考えられます。

現在1月から3月上旬まで外出自粛が出されていることにより、昨年の5月のように転出者はおさまりますが、3,4月は一年でも一番転出者の多い時期になるでしょう。

この1年、とくに大手企業のテレワークが浸透したことにより、東京周辺の県では住宅や土地が売れています。

この春に転出者が増加することは間違いないと考えられます。

総務省統計局より、2020年の各県の流入流出データとなる住民基本台帳人口移動報告2020年データを企画屋かざあなが編集

 

リーマン・ショック時は、東京都転出者がもとの推移に戻るのに4年かかった。

今回の新型コロナウイルスの影響により景気は低迷しています。

リーマン・ショック時、東京都の転出者数は1年後には約10%に増え、もとの推移に戻る2012年までに4年かかっています。

今回はテレワークの推奨が進められており、東京都から転出することも推奨しているかのような世の中の動きになっています。

この新型コロナウイルスの経済的影響は、リーマンショックでは比較にならないほどのことであり、2021年は2020年を超える多くの転出者が増えることでしょう。

 

東京の価値の再構築必須

企業は余計な事務所スペースを構えることなく仕事を進められるテレワークの浸透は大きなメリットがあります。

勤務者も通勤時間を割くことができ、自分時間や家族時間をもてるようになります。

両者にメリットのある労働形態は、今後より浸透していくことになるでしょう。

これにより、東京都内の飲食店は厳しい時を迎えています。

今まで勤務地であった東京で昼夜と食事をしていた労働者が消えます。

そして、休日の行楽者だけではなく勤務者をターゲットにサービスをしていたアパレルや家電、文房具なども同じく厳しい状況となります。

今までは、東京都は多くの居住者、勤務者、観光者、行楽者が集まる一大都市でした。

この需要があったからこそ成り立っていた商売が多くあります。

この一つのターゲットが欠けるだけでも大きなダメージです。

そして、最近の街の様子は一変しました。

休日の昼間、渋谷や新宿は多くの人が行き交っているのですが、店舗はガラガラです。

人が店舗に入ってなく、外を歩いているだけです。

東京は流行の最先端、見たことがないものや体験ができると刺激的な店舗や施設がある街でした。

この通勤者が減り、転出者が増え市場規模が縮小、店舗や企業向け賃貸の空き増加、

店舗にはお客が入らないと課題は山積みです。

高いお金を払って住むのは無駄と考えて転出されてしまう東京。

このネガティブなイメージを払拭する東京の価値の再構築が求めらます。