ユネスコ無形文化遺産は無形文化財を保護するため、2003年のユネスコ総会にて「無形文化遺産の保護に関する条約」(無形文化遺産保護条約)が採択されたことで、今まで世界遺産条約が定めてきた有形だけであったものから無形まで対象が拡大したものです。

この条約にそって、無形文化遺産を保護することが定められました。

無形文化遺産ってどんなものが対象になるの?
2003年より無形文化遺産という言葉が認められ、定義されました。

無形文化遺産とはいったいどのようなものが対象になっているのでしょうか。
「無形文化遺産の保護に関する条約」(無形文化遺産保護条約)に対象となる項目が記されています。

  • 口承による伝統及び表現
  • 芸能
  • 社会的慣習
  • 儀式及び祭礼行事
  • 自然及び万物に関する知識及び慣習
  • 伝統工芸技術

が対象になります。

 

無形文化遺産登録数は?
2020年現在、世界で585件登録されています。

世界179カ国(2020年9月時点)が締結しており、もちろん日本は本条約の策定から積極的に関わってきており、日本は、世界のなかで3番目というはやさで2004年6月に条約を締結しています。

無形文化遺産が認められた2003年までは、有形文化遺産しか登録されなかったため、「人類の口承及び無形遺産に関する傑作の宣言」での登録で対応していました。

「人類の口承及び無形遺産に関する傑作の宣言」は2001年から登録をはじめ、その数は90にものぼります。

このなかには、日本では「能楽」が2001年に登録され、「歌舞伎」「人形浄瑠璃文楽」の3つが登録されていました。

この「人類の口承及び無形遺産に関する傑作の宣言」と2008年11月に本条約の代表一覧表により無形文化遺産一覧表に統合されました。

現在(2020年)では、584件※の無形文化遺産が登録されており、

日本はそのうちの22件※が登録されています。

世界179カ国締結しているなかで、一つの国で22件登録は世界でも多くの無形文化財をもつ国になります。

※代表リスト492件、緊急保護リスト67件、グッドプラクティス25件、2019年に登録抹消1件

 

近年登録が難しくなってきている無形文化遺産。
日本では2020年時点22件登録。

ユネスコとしては2010年代より、申請・登録数が増加したこともあり、近年では登録への難易度が高まっているようです。

特に世界からの視点で類似しているようなものについて、登録が見送られています。

そのような状況下で和紙は、2009年に登録された石州半紙が登録されていましたが、本美濃紙と細川紙を拡張申請をしたことで登録されました。

現在登録されている日本の無形文化遺産をみなさんは、どれだけご存知でしょうか。

 

2008年登録

「能楽」「人形浄瑠璃文楽」「歌舞伎」

2009年登録

「小千谷縮・越後上布」「奥能登のあえのこと」
「早池峰神楽」「秋保の田植踊」
「チャッキラコ」「大日堂舞楽」
「題目立」「アイヌ古式舞踊」

2010年登録

「組踊」「結城紬」

2011年登録

「壬生の花田植」「佐陀神能」

2012年登録

「那智の田楽」

2013年登録

「和食:日本人の伝統的な食文化」

2014年登録

「和紙:日本の手漉和紙技術」

<記事:日本の和紙の産地と種類

2016年登録

「山・鉾・屋台行事」

2018年登録

「来訪神:仮面・仮装の神々」

2020年登録

「伝統建築工匠の技:木造建造物を受け継ぐための伝統技術」

 

日本において、2010年代から急激に登録数が減っているのが見て取れます。

数多ければ良いというものではありませんが、人口減少など関係人口が減っていることで保存したい文化は多くなっています。

 

カタチでないからこその価値

カタチがあるものは見たり触れたりできますが、カタチがないものはその現場にいないと感じることができないものばかりです。

現在は、Youtubeなど映像で見ることができるようになりましたが、ぜひ現場に足を運んでほしいです。

職人や演者、関わる方から発せられる風格や品格は、日本特有の「道」を極めし者からしか感じることができない空気感があります。

製造技術の登録が日本は多くあります。

「和食」「和紙」「木造建築」と自然を活かし商品として感じることができるものもあります。

どのような技術で作られているか、なぜ残す必要があるのか知の探索をしてみてはいかがでしょうか。

<記事:使う人の感性を磨く日本人としての道具

 

参考:文化庁サイト無形文化遺産