手っ取り早い副業って、なんでしょう。

今のご時世だと、デリバリーフードの配達員でしょうか。

株取引や仮想通貨取引でしょうか。

インターネットオークションもよく聞きますね。

 

日本の法律では、特定の物品を売却して利益を得るために、国家資格や許可、届出を要求していることがあります。

最も有名なのは、不動産取引でしょうか。

あまり知られていませんが、たとえ自分の所有している不動産であっても、反復継続して売却する場合には、宅地建物取引士を用意して宅建業登録をしたうえで取引をしないと宅地建物取引業法違反になります。

そして恐ろしいことに、この違反は刑事罰の対象になる犯罪です。

 

イータネットオークションサイトで、新品の物や自分の所有する物を売却している限り、法律違反は生じません。

ところが、中古品を買い取って売却したり、中古品を預かって売却して手数料を得たりする場合、古物商の許可を取って届出をする必要があります。

盗品の取引を助長しないために、中古品の取引は法律で制限されているのです。

無許可でこれらの行為を行うと、古物営業法違反になり、3年以下の懲役又は100万円以下の罰金という重い刑事罰の対象になる犯罪になってしまいます。

 

インターネットで入手した中古品を転売している人などいくらでもいるではないかと思うかもしれませんが、これはれっきとした犯罪ですから、正当なビジネスを行うのであれば法律違反は絶対に避けなければなりません。

日常的に多数の転売をしなければ大丈夫だなどといった不正確な情報もよく耳にしますが、実際には限られた回数の転売で検挙されている事例もあります。

副業資金を得るために自分が使い古した手元の物をお金に換えることは問題ありませんが、これが高じて無許可の転売事業に手を出すことはやめておきましょう。

 

行政法規による規制がある取引は他にもたくさんありますが、法律の仕組みや実際の運用(いわば黙認されている範囲)はまちまちで、業界に精通している人でなければ分からないということもよくあります。

たとえば、新型コロナウィルスの感染拡大に伴い品薄となったマスクの転売規制も内容がやや分かりにくく、私自身、複数のクライアントから質問を受けて解説を行いました。

 

経験のない新たな事業に参入する場合には、その業界に詳しい行政書士や弁護士の意見を聞き、行政にもよく質問をするなどして、落とし穴に嵌まらないよう注意しましょう。

 

もう一歩先の探求

古物営業許可については都道府県の警察がホームページで解説をしていますが、その中でも愛知県警察の説明がとても丁寧で分かりやすいです。

参考までにリンクを貼り付けます。

愛知県警察HP「古物営業法の解説」

https://www.pref.aichi.jp/police/shinsei/sonota/kobutsu/kobutukaisetu.html

愛知県警察HP「許可・届出の要否の確認」

https://www.pref.aichi.jp/police/shinsei/fuei/hoan/youhinokakunin.html

愛知県警察HP「古物営業法Q&A」

https://www.pref.aichi.jp/police/shinsei/sonota/qanda.html

 

マスクの転売規制については以下のQ&Aが比較的分かり易いです。

厚生労働省・経済産業省・消費者庁・国税庁共同作成

「国民生活安定緊急措置法による転売規制についてのQ&A」

https://www.meti.go.jp/covid-19/pdf/qa_tenbai_kisei.pdf

 

 

弁護士 権藤理俊(ごんどう みちとし)

早稲田大学法科大学院卒。権藤法律事務所所属。不動産・建築・卸売・小売・通信・飲食・宿泊・フランチャイズ・サービス業等、複数事業者の法律顧問を務め、新規事業の立ち上げにかかるリスク評価や契約書作成業務に日常的に携わる。

 

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