企画に関する法律記事

企画屋かざあなオンラインサロンメンバーでもある弁護士権藤さんに、法律の観点から企画をすすめるにあたっての注意点などを記事として頂いています。


【町弁の企画屋法律相談所】契約書を書類として残しておかないと

新型コロナの感染拡大防止のための緊急事態宣言が発令され、経済状況が一変しました。

弁護士である私のところには、この機会にビジネスモデルを転換したいので新たな契約書類の作成を検討したいという種類の相談を多くいただいています。

そんな近況を踏まえて、今回は、「なぜ契約書を作成しなければならないのか」ということを説明したいと思います。

まず、よくある誤解を解消しておきたいと思います。

「契約書を作成しなければ契約は法的に成立しない」という理解は、間違っています。

民法上、契約は当事者の意思の合致により成立するとされていて、契約が成立するために契約書を作成することは必要とされていません。
契約は口約束だけでも法律上有効に成立するのです。
これを法律用語では「意思主義」といいます。

(なお、もちろん例外はあり、たとえば保証契約は書面によらなければ有効に成立しないと民法に定められています。このような特殊な契約類型を要式契約といいます。)

それでは、なぜ、わざわざ、契約書を作成しなければならないのでしょうか。

 

弁護士 権藤理俊(ごんどう みちとし)

早稲田大学法科大学院卒。権藤法律事務所所属。不動産・建築・卸売・小売・通信・飲食・宿泊・フランチャイズ・サービス業等、複数事業者の法律顧問を務め、新規事業の立ち上げにかかるリスク評価や契約書作成業務に日常的に携わる。

 

権藤法律事務所
〒160-0017 東京都新宿区左門町13-1 四谷弁護士ビル305
TEL:03-3357-1385 FAX:03-3357-2055
MAIL:michitoshi@gondoh.gr.jp
HP: http://www.gondoh-law.com/

 

【町弁の企画屋法律相談所】副業や個人事業で自宅を住居兼事務所にする際の落とし穴

副業を開始するとなると、一番初めに直面するのが、オフィスをどうするかという問題です。

 

専用のオフィスを借りる場合、敷金、保証金、内装工事費などのイニシャルコストが生じますし、賃料、水道光熱費などのランニングコストも決して軽くありません。

そこで皆さん真っ先に思いつくのが、自宅を住居兼事務所にする方法です。

 

自宅を事務所にすれば、大きなコスト削減になり、むしろ、自宅の維持費の一部を事業上の経費に計上することもできるという大きなメリットがあります。

副業として事業を開始するのであれば、とても魅力的な方法ですね。

 

けれども、この場合、いくつか注意しなければならないことがあります。

 

現在の自宅が賃貸であれば、

・そもそも事業用に使用することが許されるのか

・使用細則などで禁止されている業種ではないか

などといったことを検討しなければなりません。

 

住居兼事務所として借りることを前提に新たに物件を探すことになりそうですね。

 

現在の自宅が持ち家であれば、

・マンションの場合、管理規約違反にならないか

・住宅ローンの約款で事業用途での使用が禁止されていないか

・確定申告時の住宅ローン控除の要件を外れてしまわないか

などといったことを検討しなければなりません。

 

住宅ローンの約款違反の件と住宅ローン控除の件は要注意です。